Together Through Life

 

チョコレートドーナツ

choco (500x334)

トラヴィス・ファイン監督『チョコレートドーナツ』を鑑賞。
1970年代のアメリカを舞台に、隣に住む母親が薬物中毒で逮捕され取り残されたダウン症の少年を、ゲイのカップルが引き取って育てようとするために社会や法律に立ち向かう。実話を元にした物語。
今でこそ同性愛は認知されつつあるが、1970年代のアメリカにはそのような空気は皆無。同性愛というだけで差別の対象にされる、ということは日本人である僕には肌では感じられない。
でも、ここに描かれる人間の醜い感情や歪んだ社会の正義や法律に阻まれ、生きたいように生きられない人生とはいったい何なのか。そしてそれに立ち向かう強さ、でも、はじき飛ばされる歯痒さ、絶望。そういったことが淡々と、お涙ちょうだいに寄ることなく綴られる。特に最後に示される底知れぬ絶望は、この世界中を憎み、絶叫をあげたくなるほど酷いものだけれど、そこに至るまでの物語に差すささやかだけれど強く美しい光を思い出す。そう、思い出すしかない。
ただ、自分の内にも潜む浅黒いものにも気付かされる。うん、確かに僕の心には浅黒いものがある。穏やかに優しく微笑むゲイのルディの髭面を、男同士のキスを、純粋に自然な愛の表情や所作として素直に受け入れられたか。あるいは、この映画は敢えてそれをも問うているのかも知れない。
捉えにくく扱いにくい人間の感情、それらが織りなす社会の、どこまでも複雑で矛盾に満ちた奥深いものを描き切った素晴らしい作品だけれど、幾分その部分(ゲイカップルを虐げる社会とそれに抗うゲイの声)に偏っている印象も受ける。ゲイのカップルとダウン症の少年マルコが打ち解けていくまでの過程や、マルコ自身の声をもっと描いてほしかったという物足りなさも残った。
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