Together Through Life

 

ペテロの葬列

9784087715323-B-1-L (268x400)

宮部みゆき『ペテロの葬列』読了。
ドラマやってるとか特に関係なく(観ていないし)、『誰か』『名もなき毒』と読んできたので。とはいえ前2作はなんとなくピリッとしない印象だった。主人公は「いいひと」だし、日常生活に潜む毒、闇といった部分に焦点が当てられているので派手なミステリーではないし。
今作も同様の路線ながら、バスジャックを決行する掴みどころのない老人の謎からすでに惹きこまれる。前2作同様派手ではないのだけれど、700ページ以上のボリュームの最初の部分であっけなく終了してしまうバスジャック事件やその後の謎解き、平行して起こるこれまた謎の多い事件などミステリー要素は多く、淡々と紡がれる日常生活で起き得る事件なのにそれでいて読者をぐいぐいと引っ張る筆致はすごい。
そして待ち受けるラスト。これには賛否両論あると思う。確かに言えるのは女性作家だからこそこういった展開を描き得たのだろうということと、多くの男性読者にとっては納得いかないラストだろうということ。僕も含めて。もちろん事件に巻き込まれてばかりの杉村を次作以降もずっと巻き込まれてばかりの話にしてはリアリティがないだろうし、そのためには杉村を探偵にして向こうから事件が訪れてくるようにしなければならないのは、分かる。でも、でも切なすぎるよ…。
ただ言えるのはこれで次作が途端に待ち遠しいシリーズになったということ。さらには次作こそこのシリーズの命運を握る作品になるだろうし、作家にとってそうしなければならないということ。そういう意味ではそこまで自身を追い込む衝撃の展開を準備した作家を讃えるべきか。
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