Together Through Life

 

怒り

b0280351_10434061 (500x333)

吉田修一『怒り』を読了。
凄惨な殺人現場に残された「怒」の血文字。逃亡を図る姿の見えない容疑者・山神一也を追う警察。日本全国で誰が山神かを疑う名のある人、名のない人。
読み手をぐいぐいと惹き込む筆致の迫力に圧倒される。誰が山神一也なのか、「怒」の血文字の意味は何なのか。
ただ、著者が描いているのはミステリーではない。動機も、血文字の意味すら明らかにはされない。
ここで描かれているのは、信じることの困難さと疑うことの簡単さでしかない。人は人を信じたい。でも、信じ切れずに思い悩み、葛藤し、疑い、裏切る。
でも、取り返しのつかないことばかりではない。裏切り、また懊悩した上で初めて、人は人を心から信じ切ることが出来るのかも知れない。でも、だとしたら、それは悲しいことでもありはしないか。
確かに近年の著者の作品では一番の力作だとは思うが、ひりひりと心が痛む傑作『悪人』を凌ぐかというと、そこまでは達していないような気がする。
Comments

Body

« »

08 2017
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
profile

telltell72

Author:telltell72
welcome!

archives
tweets
検索フォーム
counter