Together Through Life

 

ロックの精霊



湯浅学『ボブ・ディラン-ロックの精霊』を読んだ。なんと岩波新書からの発行。
ボブ・ディランの出自からデビュー、その後のレコーディングやコンサートツアーを時系列に沿って丁寧に解説している。中にも著者自身の批評や思い入れも加えられ、初心者にも読みやすく、ファンには資料としての価値も見出せる良著となっているのではないか。
ディランにはよく偏屈でミステリアスだといった印象が付きまとう。ただそれは留まることを知らない彼の音楽への愛があってこそ、それを探究する人生を歩んでいるに過ぎないのだということがよく分かる。だから、彼の今を追えば、もうすでに彼はそこにはいない。そして70歳を超えた今も世界中をツアーで回るその姿勢は、さながら音楽に身を捧げる求道者のようでもある。著者は「精霊」という言葉を用いているけれど、その「精霊」はいまや彼の旧来のイメージを遥に凌駕し、世界中の至る所に舞い降りる身近な音楽の魂を身にまとったボブ・ディランの姿にまさに重なる。
そんな「精霊」に4月初め、東京でまた会えることがさらに楽しみになった。
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