Together Through Life

 

クォンタム・ファミリーズ



東浩紀の処女長編小説『クォンタム・ファミリーズ』を読んだ。
3つあるいは4つの並行し時間軸のずれた世界を縦横に行き来する設定は複雑だし、科学的且つ哲学的用語は多岐に渡って読みにくさを助長している。いかにも純文学の閉塞性を批判し、SFやアニメ、マンガ、ライトノベルからエロゲーに至るあらゆるジャンルを飛び越え、混合し、物語と批評性を模索する作品に見えるし、実際そうなのだけれど、根底にあるのは現在の生身の人間の「生」であり、もっと突き詰めて言えばそんな人間同士のコミュニケーションと、コミュニケーションの結晶としての「家族」の姿を浮き彫りにしようとする試みが見え隠れする。
正直、比喩表現や情景描写には稚拙な印象が否めないし、過激なだけでまろやかさがない性描写などにも違和感が残った。でも、著者の既存の純文学小説に対する挑戦という意気込みはひしひしと伝わるし、もちろんその批評性、そしてその裏に見え隠れする温かさ(それにしても東浩紀は家族を愛する人だなぁ)も充分に感じ取ることができる。
この間発売になって評判も良いらしい2作目が楽しみだ。
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