Together Through Life

 

終の信託



周防正行監督『終の信託』を観た。
喘息の発作に苦しむ患者の訴えもあり、逡巡と煩悶、葛藤を繰り返した末に女医は延命治療を停止する。それは尊厳死か、殺人か。暗く、重いテーマ同様、画面も暗くて重い。
前半は患者の満州での過去や女医の大胆なラブシーンなども交え、周防監督にしては珍しくジメジメと描かれる。一転後半は権威を振りかざす検察と女医とのどこまでも噛み合わない取り調べシーン。ここが迫力満点となるのも前半に女医と患者の内面や交流を深く掘り下げているからだろう。
周防監督の視線はあくまでも冷徹だ。女医がチューブを抜いた途端、苦しみ出す患者。そこに注射を打つ女医。それはまさに殺人さながらであり、後半の検察の狡猾な手口と並べられ、観ている者に信を問う。
前作『 それでもボクはやってない』でも司法の権威と個人の尊厳を問うたけれど、今作ではさらに踏み込んでそこに終末医療の曖昧さも絡められている。だからこそ自然と作品は暗く、重くなる。エンターテインメントの側面も無くしてもらいたくはない(今作の取り調べシーンはまだ充分にエンターテインメント要素が残っている)けれど、周防監督はこれからもこういった社会に澱むモノゴトを映画を通して掬い上げていくんだろうな。
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