Together Through Life

 



阿部和重『□(しかく)』を読んだ。
著者初のホラーサスペンスということだが、カニバリスト蔓延る舞台はスプラッタな猟奇的世界。それを春夏秋冬の4つの連作短編という形で描く。
内容はもうはやシュールと言うしかないほど荒唐無稽で、説明的描写がない分読者は訳も分からないまま、それでも映像を観ているように引きずり込まれていく。とても映像的な作品で、グロかったり猟奇的な部分も説明抜きで当たり前の出来事のように描かれ、ただただその描写のみが徹底され、究極に至ることにより逆説的に滑稽に見えてくる。
この作品を書くにあたって著者が自身に課した課題が「何も決めずに書き出す」ということらしいけれど、これも「何も決めずに書き出した」からこそ阿部和重という作家の法則が逆説的に滲み出てしまっている。
そういった2つの矛盾というか自由であるはずなのに不自由になってしまっているという逆説、「視覚」の究極化による反転と結果的に「四角」の周囲を堂々巡りしてしまう作家の本性が、タイトルも含め極めて示唆的で、今はまだ分からないけれど将来著者のターニングポイントになるような作品になるのではないかと思う。
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