Together Through Life

 

アンの想い出の日々



モンゴメリ著、村岡美枝訳『アンの想い出の日々』を読んだ。アンブックスはすべて読んでいて、すっかり完結したものだとばかり思っていたものだから、昨年この上下2冊が本屋さんに平積みされているのを見たときは驚き、少し戸惑い、すぐに購入した。やっぱりアンの物語を読むのは心ときめき、高ぶる。
内容としてはプリンスエドワード島に暮らす人々を主人公とした短編の合間合間に、アンとウォルターの詩、それを巡るブライス家の家族の会話が散りばめられる。それぞれの作品の中にはブライス家の人たちも登場したり、会話の中に出てきたりして、あれからずっと続くプリンスエドワード島の世界、炉辺荘でのブライス家に思いを巡らせる。
それぞれの短編は、強力だ。必ずしも温かなものばかりではなく、モンゴメリは全身全霊を込めて人間の性、驕り、妬みといった悪の一面も描く。特に下巻は時代背景が第一次世界大戦直前から終戦、第二次世界大戦勃発直前までということもあり、暗く、儚い印象を与える。そう、ウォルターはすでに戦死している。
第1作『赤毛のアン』の溌剌とした情景はアンの成長に伴って落着き、傑作『アンの娘リラ』で空を覆っていた暗雲がそのままここにも立ち込めている。けれど、プリンスエドワード島で人々はその後もそれぞれに生き、暮らし、死にいく。ブライス家もウォルターの死を悲嘆しながらもそれを受け止め、前に進む。うん、アンとギルバートには孫までいるんだ!
冒頭に全編が掲載されていたウォルター作の詩『笛吹き』が、最後にまた心に轟く。そして、これからも続くであろう島の息吹、ブライス家の日々に、たぶん僕はずっと思いを巡らせ、時折アンブックスを開きながら人生を歩む。
村岡美枝さん(花子さんの孫だ)の訳も素晴らしい、モンゴメリ遺作にふさわしい作品だと思う。
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