Together Through Life

 

模倣の殺意



特にミステリーマニアではないけれど、出張には気軽に読めるミステリーをよく持参する。今回は中町信『模倣の殺意』を。1973年に発表された作品のリバイバル文庫化らしく、今でこそよく見られる叙述トリックを巧みに駆使した金字塔だと。
確かに後半、グッと展開は加速する。そして考えてみると、すでに最初から騙されていたことを知る。
ただトリックとしては素晴らしいのだけれど、表現力がもう決定的に乏しく、起きた出来事にも登場人物にもまるで感情移入出来ない。なんというか、デビュー作故の稚拙さもあるのだろうけれど、やっぱりこれは古臭さなのだろうか。トリック自体はあっと驚くものなので、そこに至る世界観がもっと魅力的で惹き寄せられるものだったらなぁと少々残念に感じた。
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