Together Through Life

 

Ying Yang



桑田佳祐のトリプルA面シングル『Ying Yang』にハマっている。昭和歌謡の趣を色濃く反映させた表題曲と3曲目『おいしい秘密』(これなんかモロ前川清!)、軽快なロック調の2曲目『涙をぶっとばせ!!』、どれも良いのだけれど、やはり素晴らしいのは表題曲。
桑田佳祐は昔からあらゆるジャンルの垣根を飛び越えて自身が経験してきた音楽を貪欲に取り込み、それらを「桑田佳祐」というフィルターを通すことによって現代の音楽として鳴らすことに飛び抜けているミュージシャンだと思っていて、だからサザンやソロに限らず彼の音楽を聴いているとどこか懐かしく既視感のある中にも決して懐メロとは響かない要素があって驚いてきた。『Ying Yang』はそんな彼の真骨頂ではないか。
この間何かのインタビューで語っていたように、桑田佳祐は「昭和歌謡」という言い方を嫌う。それでは平成と昭和の間にあたかも断絶があるように感じるではないかと、歌謡曲というジャンルが昭和という古い時代とともにすでに過去のものになっているみたいではないかと、そう言うのだ。そうではなく、J-POPでもポップミュージックでもいいけれど、それは決して平成以降だけのものではなく(ついでに言うとニューミュージック以降でもなく)、昭和時代の歌謡曲から日本という国に脈々と連なってきているものなのだ。それを彼はリスペクトし、そこに自身の他のルーツである音楽を融合させ(だから彼の曲にはビートルズやビーチ・ボーイズ、クラプトン、ドアーズ、ヴェルベット・アンダーグラウンドまで色んな音が聴こえてきて楽しい)、まったく新しい現代のポップミュージックとして鳴らせる。艶めかしい詩の世界、彼の声や歌唱法まですべてが絡まり合い、1つの「桑田佳祐」の音として鳴り響く。そこに過去のあらゆる楽曲の要素が詰まっていようと、もちろんそれは単なるパロディでも懐メロでもなく、完全に「現代」の「桑田佳祐」の音楽になる。
さらに言えば、そんな彼の独自性は自身の大病と震災を経験したあと、より強まったように思われる。死に直面し、彼の身体と精神の中からしか鳴らせない音にそれまで以上に敏感になる。そして、確信し、吹っ切れ、「桑田佳祐」の音を振り切る。だから、僕には今こそ彼の全盛期ではないかと、そう感じる。
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