Together Through Life

 

屍者の帝国



伊藤計劃、円城塔の共著、正確に言えば伊藤計劃の絶筆となった冒頭30ページのプロローグから盟友円城塔が物語を引き継いだ『屍者の帝国』読了。
時代は19世紀末。フランケンシュタイン博士の生み出した技術により世界は屍者で満ちている。死者にネクロウェアと呼ばれるプログラムをインストールすることによって造り出される屍者は、生者のように思考したり複雑に動く事はできないけれど、四肢を動かし、労働や戦闘に利用されている。
屍者の存在が日常的で当たり前だという世界観、時代のスターたち(カラマーゾフの兄弟、風と共に去りぬ、フランケンシュタイン、ドラキュラ、シャーロック・ホームズ)を散りばめ、世界中を巡る壮大な物語。盟友の意志とその死とを受け、エンターテインメント性は失わずに屍を通して生に迫る伊藤計劃のテーマを引き継いだ円城塔の仕事は素晴らしい。
もちろん、伊藤計劃なら…と考えずにはいられない。ただ、それも円城塔はもちろん織り込み済みだということが、最後の方で明らかになる。
彼は盟友の死にプログラムを施し、その屍者としてこの物語を紡いだ。ジョン・H・ワトソンの物語を描くのが彼のパートナーである屍者であるように。それはもちろん素晴らしい技巧ではあるけれど、ある種の逃げ、とも受け取れる。
それくらい伊藤計劃の世界は独特で、魅力的だった。ただ、今はただ、その最後の作品を、Project Itohを完結させてくれた円城塔に感謝したい。
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