Together Through Life

 

奇貨



松浦理英子『奇貨』読了。なんと著者5年ぶりの新作だという中編。
性的にはストレートだけど糖尿病の影響でもはや男としては使い物にならない中年小説家本田と、彼より一回りほども年下のレズビアン七島との奇妙な同居生活が舞台。本田は確かに性的にはストレートだけど、どうにも男社会の「ノリ」についていけず、そこからはみ出している。そして、そんな本田のもやもやを、七島は恋愛関係抜きで受け止める。もちろん、本田にも七島に対する恋愛感情はない。でもふとしたきっかけで、彼は七島に対してある種の所有欲を見出してしまう。そしてそんな本田の歪んだセクシャリティ(と言ってもいいかな)は、歪んだ形で露呈する。
のだけれど、そんな顛末を濃密で豊穣な文体で、しかもユーモアも交えて描き出す著者の肩の力の抜けた力量に唸る。
犬身』もそうだったけれど、もはや著者はセックスを描かなくとも、男女間の所有欲やらセクシャリティやらをこうやって見事に浮き彫りにする。すごいなぁ。
併録された著者26歳のときの作品『変態月』も、ピュアで歪んでいて、見事。
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