Together Through Life

 

クエーサーと13番目の柱



阿部和重『クエーサーと13番目の柱』読了。アイドルに対する妄信的ファンの盲目的監視をテーマに、現代社会のモニタリングの形態を暴き出す。前作『ピストルズ』のスローから一転、物語は疾走する。
アイドル、監視社会、ネット、疾走感。著者にしては珍しい、スラスラと読める文体からエンターテインメント的要素へのアプローチも伺えるが、それらと共に重要なモチーフとなっているのが「引き寄せの法則」というもの。「正しく」「願う」ことにより、願望が必ず実現するという、いわば成功哲学で、実際そういう類いのものはあるらしい。
そんな軽薄な「引き寄せの法則」が、ウェブ世界とリンクする。
「正しく」「願う」、ウェブ上で。それは、膨大なデータベースに発信することによって叶う。「祭り」という形となって。
「引き寄せの法則」という浅さ。ウェブ上の「祭り」という浅ましさ。現代に複雑に蔓延るモニタリング社会は、結局は浅く、浅ましいのだ、というアイロニー。
阿部和重の新しい地平への出発点として、(少々「浅い」ながらも)ワクワクして読めた。
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