Together Through Life

 

にぎやかな湾に背負われた船



小野正嗣『にぎやかな湾に背負われた船』読了。三島賞を受賞した表題作と朝日新人文学賞受賞のデビュー作『水に埋もれる墓』の中編2編。
中編とは言え内容は濃くて、臭い。どちらも「浦」と呼ばれる海辺の集落を舞台に、人間模様と歴史の澱みを描く。中上健次の「路地」にも通じる「浦」の、臭い立つような空気。当然そこに生きる人々も匂う。意図的なものか、コミカルな場面と文体から生暖かい臭気が漂うような歴史、血脈のシーンが交互に繰り返され、読んでいてくらくらする。でも、その「くらくら」は決して、全然悪くない。
歴史も血縁も糞尿も死も生も、「浦」に澱んでいる。それを圧倒的に美しい比喩で、臭いほどに伝えられるから「くらくら」してしまうのだ。
いやはや、素晴らしい作家がいたもんだ。
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