Together Through Life

 

かわいそうだね?



『インストール』も『蹴りたい背中』も読んでいないけれど、綿矢りさ『かわいそうだね?』を読んでみた。表題作と『亜美ちゃんは美人』という中編2本からなり、表題作は大江健三郎賞受賞作。
表紙から、あるいは著者が大江健三郎との対談で「まさか大江さんに読んでもらえるとは思っていなかった」と語ったように、どちらの中編も若い女性に向けて描かれた物語。
表題作は主人公とその彼氏、そしてその元カノとの三角関係、いわゆる痴話だし、『亜美ちゃんは美人』も超美人だけれど天然で憎めない亜美ちゃんと、彼女に複雑な思いを抱きながらも離れられない親友さかきちゃんの物語。(僕も含めて)確実におじさんが読むことなど想定外の作品だろう。
でも、なぜか楽しんで、面白く(ときに笑いを堪えながら)読めた。それは一重に著者の独特の句読点使いによる、少しつっかえそうになりながらもギリギリのところで流れされるような文体のお蔭だろうし、場面ごとの文章とその行間から伝わる力加減の絶妙な調整によるものだと思う。弱っているときは静かに、力を漲らせて「突撃」し、そして「爆発」して「脱力」するシーンの流れも、その文章自体が持つパワーが絶妙に加減されているので、場面に奥行があるし、読む者に心地良い弛緩と緊張を与える。
それにしてもやっぱり描かれているのは女性独特の複雑で繊細で、それでいて時に驚くほどシンプルで大胆で、それゆえに形作られる女性同士の独特の関係性だったりするから、やっぱりおじさん向けの読み物ではないかなぁ。女性の読者だったらもっと共感できるのだろうと思うけれど、単純な男(おじさん)にとってはよく分からないながらもシーン毎の強弱と女性自身が持つ神秘性に惹き込まれ、ただただ「ふぅむ…」と唸るしかないのだ。
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