Together Through Life

 

ニッポンの小説



高橋源一郎『ニッポンの小説-百年の孤独』読了。学生に聴かせる講義といった形をとった、近代小説100年の歩みから「(ニッポンの)小説」とは何かを読み解く評論。
100年もの間終始一貫して「死」と「恋愛」のみを描いてきた「(ニッポンの)小説」って、実はいったいどこにあるのか。内田樹のレヴィナス論や詩人荒川洋治の手厳しい文芸批評を引きながら、慎重に言葉を選び、高橋源一郎は愛する「(ニッポンの)小説」を読みほどいていく。
ところが、読みほどけば読みほどくほどに「(ニッポンの)小説」とは何なのか分からなくなってくる。だから著者は「ブンガク」に気恥ずかしさを感じながらもそのコアに迫り、とことん「(ニッポンの)小説」を追い詰め、最後には<死>と<死の周辺>、<意味>と<価値>の狭間で立ち尽くす。
ここまで「(ニッポンの)小説」に迫れたのは著者が現代詩の熱心な読者であることや失語症を経験したことと大いに関係があると思われるけれど、何よりも大きな要因は著者がそれでも誰よりも深く「(ニッポンの)小説」を愛しているからに他ならない。だからこそ狭間で立ち尽くすことになろうと、著者は「小説を書き続け、小説について考えつづけるにちがいありません」と力強く断言できるのだし、そのことで、いやそのことでしかまた「(ニッポンの)小説」は前に進めないのだと信じているのだ。
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