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昭和天皇 第五部



福田和也『昭和天皇 第5部 -日米交渉と開戦』読了。
このシリーズはその時代に生きた皇族、政治家、活動家、ジャーナリスト、文化人から海外の主要人物までを情景豊かに描くので時には冗長にも感じられるけれど、その分大河ドラマ的に時代の蠢きや息吹が伝わってきて息を飲む。
盧溝橋事件、張鼓峰事件と裕仁の危惧とは逆に拡がる中国戦線。特に陸軍は大きな力を持ち始め、次第に独断で動き始める。帝国の国際的立場はどんどん危うくなる。
もちろん、時の総理大臣を始め、参謀総長なども強い危機感を抱いており、裕仁も彼らの拝謁の際にはときに強い口調で苦言を呈するも、もはや物凄い力で動き始めた「時代」には抗いようもなかったのかも知れない。日独伊三国同盟、南部仏印進駐を経ては日米交渉も立ち行かない。
第五部で描かれているのは昭和16年12月8日の日米開戦前夜まで。伝わってくるのは、裕仁はもちろん、出来るだけ和平への道を模索しようとした人々はたくさんいたし、それぞれが多くの苦悩を抱いていたということ。ただ、彼らは決して一まとまりにはなっていなかったということ。だからこそ巨大化した陸軍の暴走は止められず、「時代」という動乱に押し流されるしかなかった。
当時にも日米開戦は明らかに正しくはないという空気は確かにあったし、だからそれでもそこに突き進んだ裏には多くの苦悩があった。確かにそれを食い止められなかった天皇裕仁には最高指導者としての責任があるのかも知れないが、そこにはもはや誰にも止められない「時代」という強大な流れも確かにあり、だからこそ裕仁の懊悩はどんどん奥深くなっていく。
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