Together Through Life

 

すべて真夜中の恋人たち



川上未映子の新作『すべて真夜中の恋人たち』を読んだ。『ヘヴン』以来2年振りの新作長編だしとても楽しみにしていたのだけど、う~ん…。

人付き合いが苦手で友達らしい友達も趣味らしい趣味もなく生きてきた34歳の女性が、ふとしたきっかけで出会った58歳の男性に恋する。その心の移ろいを描く、だけというか。
中高年の恋愛という設定はよくあるし、登場人物も薄いし、男性と女性との心の通い合いも浅い。どうしてこんなに陳腐になってしまっているのだろう。
作品全体のほとんどを占める主人公が抱える一方通行の思い、というある意味シンプルな小説に奥行きを出そうと(しているのか)著者が誇る美しく流れるような文体による表現も、そればかりが浮いているようで、逆に一生懸命振り絞って描いているような違和感を覚えるし…。観念的な恋、文学的な空気にしても、その部分で言っても例えば川上弘美(の例えば『真鶴』)には遠く及ばず、やっぱりなんとも残念な作品ではないかと思う。
狙おうとか、描こうとし過ぎているきらいがあるのだけれど、川上未映子にはもっと身体から溢れるような、ほとばしるような世界を創り出してもらいたいのだ。
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