Together Through Life

 

この世界の片隅に

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昨年からずっと観たくて、劇場で観るならもう本当にそろそろ行っとかないとと、会社帰りに片渕須直監督『この世界の片隅に』を。
冒頭、映画が始まったと同時くらいにのんの声が語り始め、もう途端に僕たちはそこからのん=すずと一体化してしまい、そのまますずとして戦時下の日本の日常を生きることになる。
この作品は戦争を描いているのではない。かと言って、戦争と対峙する形での日常を描いているのでもない。戦争がある日常を描いているのだ。
日常は美しい。戦争があったって、なかったって。人は、本当の幸せは日常の中にこそあるって、感覚的に知っている。だから、戦争があったってお腹を抱えて涙を流して大笑いするし、防空壕の入口に並んで座ってキスをする。仕事で疲れればうたた寝をするし、デートのときは化粧が濃くなる。お料理にもお洗濯にもお掃除にもお裁縫にも、戦艦大和の2700人の乗組員たちの一人一人にも、日常のドラマがある。
だから、だからこそ、そんな日常に戦争があることの怖さ、恐ろしさには戦慄を覚える。思わず絵に描きたくなるほど美しい空中での爆発。空を猛スピードで駆け抜ける爆撃機の下をひらひらと舞う蝶。美しい日常の中にある戦争だからこそ、その恐ろしさは震え上がるほどに恐ろしい。
そしてそんな日常ははるか昔からすずの時代を通り、今もまだ続いている。アメリカ軍がイラクで戦争をしているとき、家族は笑ってディズニーランドを楽しむ。それが悪いってことじゃない。ただ、僕たちはずっとそんな日常に、世界に生きているということだけ。それを忘れちゃいけないってだけ。
戦争ははるか遠くにだけあるものではない。段々畑から見える海の上にしかないものじゃない。いつ僕たちの見上げる真上の空を空襲が襲うか分からない。
でも、生きていくんだ。笑って泣いて、日常の中にある幸せを噛み締めて。たとえそれがまやかしだったって、強がりだったって、裏口で泣くことがあったって、日常の中にしか本当の幸せはないから。生きるということはそれを求めるということだから。世界中の全員がそれぞれに持つ、この広い世界のそれぞれの片隅で。
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