Together Through Life

 

犯罪小説集

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吉田修一『犯罪小説集』読了。
実際に起こった5つの事件に着想を得て描かれる5編の小説集。
どれもこれもディテールの描写が凄まじく、やはりこの著者の筆力に今回も圧倒される。確かに長編ほどの迫力はないが、日常生活のすぐ隣にあり、ちょっとしたことで転落してしまう闇のあっけなさと恐ろしさが迫る。
おそらく意図的に著者は犯罪者となる人間の心理を描かない。その周りの心を描くことによって、彼らが追い詰められていく様(それはつまり「普通の」僕たちが彼らを追い詰めているということだ)が恐ろしく読み手にのしかかる。
例外的に『百家楽餓鬼』のみ犯罪に手を染めていく主人公の心の闇を描くが、これは他の4編が殺人を描いているのに対し、『百家楽餓鬼』のみ殺人ではなくギャンブル依存から会社のお金を不正に使いこんでしまう過程を危うく描写するためだと思われる。
最後に収められている『白球白蛇伝』のラストが、切なすぎて哀しすぎて、ある意味において小説家の苦渋の決断に、涙が止まらなかった。
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