Together Through Life

 

橋を渡る

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吉田修一『橋を渡る』読了。
1章から3章まで、それぞれ場所も主人公も違った物語が展開され、そこに実際に起こったスキャンダラスな出来事(国会のセクハラ野次問題、バンコクの代理出産、女性参議院議員のスポーツ選手へのキス強要疑惑、香港の学生デモなど)、僕たちの回りに立ちあがってはいつの間にか忘れかけていたニュースが散りばめられ、その既視感のため読み手もこの物語の中に自然と入り込んでしまう。
そしてそれは著者の誘いなのだ。なぜなら最終章で突然僕たちは異世界に放り出されるから。
僕たちは迷い、戸惑い、それでも3章までで紡がれてきたそれぞれの物語がこの異世界で緩やかに融合する様を見る。そして、思う。70年前、戦争で多くの犠牲者を出したこの国の人々が望んだ世界を、今僕たちは作れているだろうかと。
3章までの群像劇に漂うそこはかとない不気味さはかつての著者の作品に通じるものがあって、個人的には嬉しかった。そして驚きの最終章への展開。これは著者の新境地だろう。新しい段階に進んだ吉田修一の次作が早くも楽しみだ。
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