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服従

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ミシェル・ウエルベック著、大塚桃訳『服従』読了。
2015年1月7日、つまりパリでシャルリー・エブド襲撃事件が起こった当日に発売され、さらにはその内容が2022年にフランスにイスラム政権が発足するという内容だったことからヨーロッパ各地で衝撃を持って迎えられた作品。ちなみに僕は初ウエルベック。
主人公「ぼく=フランソワ」は19世紀末の作家ユイスマンスの研究家で大学教授。頭の半分は知性、残りは性欲で満たされているフランソワは典型的なインテリ、ノンポリ。物語は不穏な空気も漂う大統領選挙キャンペーンからイスラム政党の勝利、イスラム政権の誕生までと、フランソワの知的/性的行き詰まりとが平行して描かれる。フランスにおけるイスラム政権の誕生はヨーロッパの限界あるいは自殺、フランソワの行き詰まりはヨーロッパ知識人あるいは教養人の無力化なのだろう。そこに入れ替わるように入りこむイスラム教。フランソワの改宗。
色んな読み方が出来る問題作だが、結局フランソワがイスラム教に改宗=絶対神に服従することを選んだ一番大きな要因は一夫多妻制だということが僕には衝撃だった。言いにくいけど言っちゃったよ、ウエルベック。ヨーロッパ的知、キリスト教的世界を完膚なきまでに嘲笑っちゃったよ。フランソワ(ローマ法王と同じ名前だ!)の頭を満たす性欲が、知性に勝利するのだ。
実際作中に積み上げられてきた知的会話では章を追うごとにフランソワは無口になり、替わって穏健なイスラム主義がどれほど現代(近未来)社会に意味を持つのかという大統領や学長の主張に取って代わられる。ヨーロッパ的或いはキリスト教的知は敗北し、絶対神に服従する。性的欲求を満たされるというおまけ(いやむしろこちらがメインか)をつけられて。
もちろんウエルベックがイスラム主義に傾倒しているわけではないので、ここで浮き上がってくるのが他の「知」に対してことごとく警鐘を鳴らしながら、その物語を立ち上げている小説の力だ。ウエルベックはヨーロッパ/キリスト教社会に警鐘を鳴らしながら、今こそ文学の力を知らしめようとしているのかも知れない。
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