Together Through Life

 

メビウス

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キム・ギドク監督『メビウス』を観た。
この人の何がすごいって、こんなに異常な世界を描いているのに、その所々で異常さが突き抜けているからか笑いを禁じ得ない場面が盛り込まれ、結果的にただの自己満足フィルムではなくエンターテインメント作品に昇華されているところだと思う。
この作品だって夫の不倫に悩む母親が憎むべき夫の身代わりとして息子の性器を切り落とし、それによって当然苛まれる息子を見て夫も父親として痛みを背負おうとする、という無限(メビウス)とも思える性と業と快楽と痛みのループを描いているにも関わらず、息子のためを思ってインターネットで性器がなくともオーガズムを感じる方法を検索する父親の姿はやはり滑稽だ。
描かれるのは剥き出しの人間たち。剥き出しだから、この作品に台詞は一切ない。人間の口から吐き出されるのは快楽にむせぶ喘ぎ声と、苦痛と恐怖に歪む叫び声と、他人を蔑む嗤い声と、絶望に向かって吐き出されるため息だけだ。剥き出された人間はそれでも快楽を求め、結果快楽と表裏となる苦痛に昇天する。それが人間の剥き出された姿だと暴かれ、それでも生きていくために宗教に縋る。
緊張感で満たされた全編の所々で苦い笑い、引き攣った笑いを浮かべながら観終えたあとには、母なる象徴としてのふてぶてしい乳房と存在を亡くしてなお主張しようとする切り取られた男性器の痕が頭に残る。
いや、キム・ギドク、すげえ。
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