Together Through Life

 

バケモノの子



細田守監督『バケモノの子』を観た。久しぶりに劇場で映画を観た。だって、『時をかける少女』も『サマーウォーズ』も『おおかみこどもの雨と雪』も素晴らしく、今や僕の中でジブリ作品以上に待ち遠しいアニメーション監督の新作だもの。
そして、驚いた。愕然とした。僕の感性の問題かも知れないけれど、まったく心が震えず、まったく泣けなかった。

細田守監督は分かりやすい監督だ。結婚して家族親戚が出来ると『サマーウォーズ』を撮り、周囲に出産子育てするママが増えると『おおかみこどもの雨と雪』を撮り、そして今回自身に息子が出来て本作を創った。人と人との結びつきや女性=母の強さを描いた前2作は、細田監督にとって自身の私的な周囲に起こっている出来事を題材にしているとはいえ自分自身を描いているわけではないから、ある意味客観的な立ち位置で描くことができ、でも今回はテーマとして「父と息子」があってやっぱりそれは自分自身のことだから、これほどまでに題材を客観視できず、猪突猛進に描かれてしまったのかも知れない。それとも男性が男性=父を描くにはもっとデリケートに、繊細に、謙虚にならなければいけないのかも知れない。そうしたときに初めて「父子」の関係性というのはそこから滲み出てくるようなもののような気もする。宮崎駿が男性=父を描くとき、あれほどぎこちなくなったように。結局いつまでも『ゲド戦記』を撮れなかったように…。
キャラクター、父子の関係性、人間の心の闇、人間界とパラレルに存在するバケモノの世界。すべてがどこかステレオタイプで短絡的だ。成長譚も駆け足で浅い。さらには台詞による説明過多なのは、やはり細田守監督のメッセージを自身が抑えきれずに暴走したものだろうか。その暴走は、今回から細田守の単独脚本になったことも影響しているのかも知れないが…。
映像的にはさすが、アニメーション的ダイナミズムに溢れていて素晴らしい。それだけにこのあまりにもストレートで安直なメッセージの押し付けには、僕としては鼻白んでしまった。
Comments
 
ひさしぶりにコメントします!
私は親になったばかりだからかもしれないけど、ちょっとした場面で涙が溢れてしまい終始泣きっぱなしでした。ハム入りオムレツのシーンからの卵かけごはんとか、楓が九太を諭して赤いしおりを渡すシーン(渡すよりもその時の台詞)とか、他にもたくさん…。
本作は、細田監督が、早くに亡くされたお父様としてみたかったやりとりについても描かれているようですよね。自身の子どもはまだ小さくてここまでのやりとりはできないし。だから暴走とも捉えられるのでしょうか?
ストーリーは行間を読むとうより分かりやすさが全面に出ているようにも感じますが、熊てつの体当たり育児、熊てつも成長していく姿は、共感できました。素敵だなぁとも☆
私はおおかみこどもが理解できませんでしたが、今から分かるかなぁ~。そうそう、あまり子どもと関わりがないから、9才ってあんなに口が達者なの?と驚きました(笑)
>Kちゃん 
コメントありがとう。
何か辛辣な記事になってしまって…。ただそれも細田監督には期待しているからこそで…。
テーマや物語はとても良いし、監督の伝えたいことは分かるんだけど、あまりにもそれを伝えたくて伝えたくて前のめりになってしまっているように感じました。もっと抑揚というか溜めというか、そういうのがあった方が監督の描く父子の有り様がもっと心にじんわり響くんじゃないかと。
でもKちゃんが「おおかみこども」が理解出来なかったってことは、やっぱり同性が同性を描くこと、同性を描かれたものに同性が心から共振することって難しいのかも知れないね。

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