Together Through Life

 

永い言い訳



西川美和『永い言い訳』読了。監督作としての『ゆれる』や『ディア・ドクター』に衝撃を受けた者としては、やはり小説にも興味は湧く。西川美和の小説としては初読。
果たして、やはり西川美和は西川美和だった。
妻の死の直後までが描かれるどんよりとした冒頭から一転、語り口は軽妙になり、主人公の冴えない男がこのまま救われていく物語になる、ように仕掛けられる。ただ、うっすらとその背後は示されている。そしてまた文体は重く苦しくなるが、その重苦しさはもはや冒頭のそれと同じではない。
主人公は人間のダメな部分をすべてデフォルメされたような男だ。デフォルメされてはいるが、そのダメで愚かな部分は、誰しもが持っている。だから、誰しもがこの作品に触れると後ろめたい気分になり、でもやがて自身のダメで愚かな部分をひっくるめて生きていこうと思う。
「人生は、他者だ」と気付いたら、それまで愛すべき時に愛することを怠った代償を抱え込みながら、自分の愚かしさを背負いながら、それでも生きていこう。永い、永い言い訳をしながら。
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