Together Through Life

 

横道世之介



吉田修一『横道世之介』を読了。
80年代の東京を舞台に、地方から上京してきた横道世之介の大学1年時の1年間。
主人公はどこにでもいそうな、少し不器用だけれど前向き、単純で素朴な青年。東京での暮らしはほとんどの大学生と同じく大した事件もなく過ぎるのだけれど、本人にとっては東京という場所での日々がそもそも刺激的なのであり、ただ同時代にそれにはなかなか気付かない。なぜならそういう日々は後から振り返ってこそ驚くほどにキラキラと輝いて見えるものだから。
そういった感覚がとても瑞々しく描かれていて、ナレーター口調の少しとぼけた文体や世之介の友人達の20年後を合間に差し込む構成が見事で、読んでいる最中から読後にもじわっと熱い味わいが残る。
登場人物たちも魅力たっぷりなのだけれど、帯にもあるように「どこかで会っている」ような親近感を感じることができるので、物語の世界を読みながら、心は自分や友人たちの学生時代に飛んでいける。
吉田修一は好きな作家で新作が出ると毎回読むのだけれど、どんどん幅が広がり奥行きが増す世界に驚く。
これも、何度でも読みたくなる素晴らしい作品だと思う。

 

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