Together Through Life

 

野火

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塚本晋也監督『野火』を観た。
敗戦がほとんど確実になった中、レイテ島に取り残された日本兵たちの極限。もはや物体としか認識されない死体がごろごろと転がり、味方同士で疑心暗鬼の末、殺し合いが始まりさらには…。塚本晋也は映像としての利点を生かし、眩いばかりに美しい原色の自然の中に、凄惨な戦場に転がる死体と煤と垢にまみれてゾンビのごとくただただ自身のみの生を求める敗残兵を放りこむ。そこに人間としての尊厳はないので、各人の背景などは一切描かれない。ただ生き生きと生きている自然と、精神的にも肉体的にもほとんど死んでいる兵士たちの対比が恐ろしい。そして、それこそが戦場なのだ。
映画としてとても迫力に満ち、映画でしか描けない鮮やかな色彩の力など、とても見応えのある作品。けれども、これはもう仕方ないとは思うのだけれど、原作の衝撃にはかなわないものなんだなぁ。

 

レヴェナント

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アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督『レヴェナント:蘇りし者』を観た。
いかにも賞受けしそうな大作然とした作品で、大自然の徹底した美と恐怖、俯瞰の美しさと緊迫の臭さを描いたイニャリトゥ監督も見事だし、ほとんど最初から最後まで死にかけながらも生への執念を燃やし続け、大いなる自然の中にいてあまりにも小さな人間が実は根本に持つ強さを演じたディカプリオ(念願のオスカーおめでとう!)も素晴らしい。
ただこの映画の一番のすごさはエマニュエル・ルベツキのカメラに尽きる。その自然光のみを生かした映像はただただ圧巻。この撮影がなければストーリーがシンプルなだけにここまで素晴らしい作品にはなっていなかっただろうと思う。3年連続オスカー受賞も納得。

 

この世界の片隅に

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昨年からずっと観たくて、劇場で観るならもう本当にそろそろ行っとかないとと、会社帰りに片渕須直監督『この世界の片隅に』を。
冒頭、映画が始まったと同時くらいにのんの声が語り始め、もう途端に僕たちはそこからのん=すずと一体化してしまい、そのまますずとして戦時下の日本の日常を生きることになる。
この作品は戦争を描いているのではない。かと言って、戦争と対峙する形での日常を描いているのでもない。戦争がある日常を描いているのだ。
日常は美しい。戦争があったって、なかったって。人は、本当の幸せは日常の中にこそあるって、感覚的に知っている。だから、戦争があったってお腹を抱えて涙を流して大笑いするし、防空壕の入口に並んで座ってキスをする。仕事で疲れればうたた寝をするし、デートのときは化粧が濃くなる。お料理にもお洗濯にもお掃除にもお裁縫にも、戦艦大和の2700人の乗組員たちの一人一人にも、日常のドラマがある。
だから、だからこそ、そんな日常に戦争があることの怖さ、恐ろしさには戦慄を覚える。思わず絵に描きたくなるほど美しい空中での爆発。空を猛スピードで駆け抜ける爆撃機の下をひらひらと舞う蝶。美しい日常の中にある戦争だからこそ、その恐ろしさは震え上がるほどに恐ろしい。
そしてそんな日常ははるか昔からすずの時代を通り、今もまだ続いている。アメリカ軍がイラクで戦争をしているとき、家族は笑ってディズニーランドを楽しむ。それが悪いってことじゃない。ただ、僕たちはずっとそんな日常に、世界に生きているということだけ。それを忘れちゃいけないってだけ。
戦争ははるか遠くにだけあるものではない。段々畑から見える海の上にしかないものじゃない。いつ僕たちの見上げる真上の空を空襲が襲うか分からない。
でも、生きていくんだ。笑って泣いて、日常の中にある幸せを噛み締めて。たとえそれがまやかしだったって、強がりだったって、裏口で泣くことがあったって、日常の中にしか本当の幸せはないから。生きるということはそれを求めるということだから。世界中の全員がそれぞれに持つ、この広い世界のそれぞれの片隅で。

 

ファインディング・ドリー

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アンドリュー・スタントン監督『ファインディング・ドリー』をようやく観た。
ようやく、というのは、僕以外の家族はすでに劇場で観ていてしかも最近は車の中でも(特にallenが)ドリーばかり観ているので、まだちゃんと観ていなかった僕はその度になるべく目を背けるのが大変だった(でもやっぱりだいたいの話は入ってきてしまっていた…)。
ディズニー/ピクサー作品の第一は子供がきちんと楽しめることにあり、だからその根本を大切にして丁寧に作られている作品たちが面白くないわけない。もちろん大人でも。
そして大人になって観ると、その面白さや楽しさの向こう側にさらりと(あくまでもさらりと)メッセージが垣間見えるのも特徴だ。
思えば『ファインディング・ニモ』でもドリーは主役を食うほどの存在感だった。それは彼女が「忘れっぽい」という障害を抱えながらも、あれほどまでに元気よく前向きに生きているからに他ならない。だからこそ、ドリーはあんなにも愛おしい。

 

ローグ・ワン

出張から戻って一昨日昨日とバタバタ。でもなんとか今日の午前中で仕事を納める。
午後からギャレス・エドワーズ監督『ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー』を観る。

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なるほど確かにエピソード4へと続く正史に踏み込んだ内容。世界の各地で未だ続く紛争をも思い起こさせる、「戦争」の匂いの濃い作品になっていて、だからスター・ウォーズとしては重過ぎ、ユーモアが不足している部分はある。ただ戦闘シーンは迫力満点で、エンターテインメント性も決して落ちてはいない。まさにスター・ウォーズを観て育った世代が、オリジナルに媚びずに(『フォースの覚醒』は媚びていたよね)自分の創りたいスター・ウォーズを創ったという感じ。
奇しくもキャリー・フィッシャーの突然の死をニュースで知った日。それだけにラストはこみ上げるものがあった。

 

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