Together Through Life

 

誰のせいでもない



ヴィム・ヴェンダース監督、7年振りの劇映画だという『誰のせいでもない』を観た。7年振りってことは『パレルモ・シューティング』以来かと驚いたら、その間にドキュメンタリー映画は撮っていたようで。それらは未見だけれど。
一言で言えば、とても純文学的な作品。雪の田舎道で事故により子供を轢いてしまった主人公と、その残された母と兄。彼らの心の葛藤、苦悩が回復していく、あるいは錯綜していく長い年月(10年!)を描く。
そう言えば忘れられないおぞましい出来事に因って損なわれ、どん底に落ちた人生をそれぞれが取り戻す映画のようだけれど、ヴェンダースはそれほど単純には描かない。
主人公は作家であり、本人が意図していようがしてなかろうが、彼の経験はすべて仕事の糧になる。実際、彼は事故後の作品が評価され、作家としての地位を築いていく。
確かに彼は苦しみ、そこから這い上がった。けれど、その苦しみは自作自演とまでは言わなくとも、どこまでも自己中心的なものだとも見える。実際残された母親は息子のために家を売り、その息子は弟の死によって心的障害を抱えたまま育っている。誰もが、長い年月をかけようが損なわれたものを回復できるわけではない。そうやって観ると原題『Every Thing Will Be Fine』がアイロニカルに、不気味に心を打つ。

 

ヘイトフル・エイト

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クエンティン・タランティーノ監督『ヘイトフル・エイト』を観た。
前作『ジャンゴ』で(僕の中では)見事に復活を遂げたタランティーノだけに今作も期待して観る。そして、期待通りの作品に拍手!
猛吹雪の中、山小屋に置き去りにされた8人の胸糞悪い連中の、胸糞悪い会話劇。なんだけど、その山小屋に到着するまでの会話にも退屈させられることはなく、そして山小屋に閉じ込められてからはヒリヒリする緊張感の中で繰り広げられる、まさにタランティーノ節としか言いようのない会話の応酬にやられる。
差別用語満開の会話、行動からはニヒリスティックに批判精神が立ち上がるが、やはり彼の真骨頂はそこではないなぁ。緊張感溢れるシーン、彼にしか書けない台詞、センスあふれる音楽、突発的な暴力、グロテスクな描写。すべてが絡み合い、そんな世界で達者な役者陣が嬉々として演じる。禿げたじいさんだろうと、やはりタランティーノ作品でのサミュエル・L・ジャクソンが一番かっこいい。
いやぁ、復活してくれて良かったなぁ。次作が早くも楽しみ。

 

クリード

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ライアン・クーグラー監督『クリード チャンプを継ぐ男』をようやく観れた。
いやはや驚いた。
アポロの遺児がロッキーに師事し、世界チャンピオンに挑む。いやはや。素晴らしく名作『ロッキー』を継ぐ設定、世界、ストーリーで、そしてそれは素晴らしく成功している。
そこには緻密な演出もさることながら、やはり年老いて今度は病と戦うロッキーのレジェンド感たっぷりの姿(スタローンの名演技にも驚いた)が大きい。
僕は『ロッキー』世代で、シリーズ最終作の『ロッキー・ザ・ファイナル』でもその年老いた姿に涙腺が緩んだものだけれど、それでも10年前ロッキーはまだフィラデルフィア美術館前の階段を駆け上がれていたのだ。今、もはや歩いて上っても息が切れるロッキー。こんな姿は見たくないと思いながらも、ロッキー・バルボアとしてシルヴェスター・スタローンが見せる渾身の姿に、老いや恐れから逃げてはいけないことを教えられる。
名作を継ぐ作品として成功しているし『ロッキー』世代ではない人が観ても楽しめる作品になっていると思うけれど、やはりエイドリアンやアポロの死の背景なんかを踏まえて観るとより深く感動し、楽しめると思う。

 

スター・ウォーズ/最後のジェダイ

年末年始休みも早いもので今日でおしまい。昨日annはそのままばあこの部屋に泊まり、allenと従兄のRはウチで寝て、今朝早くキッザニアに出かけていった。
僕は映画。ライアン・ジョンソン監督『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』を観る。

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結構過去作へのオマージュが強くて結果的に置きにいった感もあった『フォースの覚醒』に比べ、『帝国の逆襲』の構成をなぞりながらもライアン・ジョンソン監督のチャレンジ、スター・ウォーズの世界観を膨らませようという気概は見える。ただ、でもちょっと色々なところで失敗している印象。
特に個人的に一番残念だったのはルークの描き方。最後のジェダイ、最後のジェダイ・マスターだよ?レジェンドだよ?どうしてまだ迷い、恐れているのか。
まぁレイの親にまつわる真相、孤児=アナキンの物語として少しは次回に期待を持たせるラストはまずまず。あぁでもラスト、エピソード9はスカッと有終を飾ってもらいたいなぁ。

 

猿の惑星:新世紀

今夜の夜行便で帰国。
帰りはマット・リーヴス監督『猿の惑星:新世紀』を。往きで観た『猿の惑星:創世記』の続編。

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今作でも映像技術は素晴らしいし、ストーリー展開も見事。惹きつけられて観ているうちに、あっという間に終わってしまう。そして最新作が観たくなる。
さらには、もはやここでは前作で見られた人間と猿の対比の前にあるはずなのに見過ごされているように感じる人種間の問題も、さらに大きなテーマによって吹き飛ばされている。それは「人間は人間を殺す」が、「猿は猿を殺さない」ということ。
人種がどうあれ人間は人間を殺す。しかし、猿は猿を殺しはしない。この根源的原則が大きなテーマとして扱われ、そしてそれがやがては崩れていく過程を描くことによって、人類が遠い昔から繰り返してきた殺戮と戦争のメカニズムを炙り出す。
あぁ、早く最新作も観なくちゃ。

 

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